パグの組木

店舗のショーウインドーを見た人に「パグ犬の組木」を作るようせがまれた。 特徴的な表情を持ち映画で活躍した犬種だ。蘊蓄を言うと…パグの起源は、紀元前400年以前の中国王室で飼育されていた短吻の小型犬ではないかと考えられています。またマスティフの特徴を所々に残していることから、長い歴史の中のどこかで、この犬種の血統が混じったのではないかと推測されています。 パグはオランダ東印度会社(16021700年代末)を介して中国からヨーロッパに渡り、オランダ王室と密接な関係を築くようになりました。この犬は王室で繁殖され、王家のシンボルともなり、更に王の肖像画にまで描き込まれるほど寵愛されたといいます。中でも有名なのは「ポンペイ」という名のパグでしょう。彼は、オランダがスペインからの独立を目指して起こした「八十年戦争」において、ウィレム1世を暗殺者から救った英雄として、オランダ国内において伝説になっています。 1700年代の末にはすでにフランスに渡っていたようで、特にナポレオン婦人であるジョセフィーヌがこの犬を寵愛していた事は有名です。収監されている婦人の秘密の伝令を、夫であるナポレオンに伝えたと言う逸話も残っています。ビクトリア女王(18191901)の時代になるとイギリスにも上陸し、たちまち王室や貴族社会の貴婦人達にもてはやされるようになりました。当時のパグは、顔のしわを際立たせるため、わざわざ耳を切って短くしていたとも伝えられています。ケネルクラブで公認されたのは1885年のことです。 犬名の由来については諸説あります。顔がつぶれて握りこぶしに見えることから、ラテン語で「こぶし」を表す「プグニュス」(pugnus)から来ていると言う説や、1700年代にペットとして流行した「パグモンキー」(マーモセットのこと, 写真右)と言うキヌザルに似ていたために「パグドッグ」と名付けられたという説などが一例です。ちなみにパグは、ドイツで「モプス」(mops, しかめ顔)と呼ばれ、オランダでは「モプスホント」(mopshond)という愛称で呼ばれることもあります。アメリカ映画「Men in black」では喋る犬として登場しますので馴染み深いでしょう。